爆笑問題カーボーイ(1)

たまにはラジオの話を、ということで、『爆笑問題との出会い』の続き。

番組について深く掘り下げて書くと、とてもではないが一度に書ききれないため、とりあえずナンバリングを(1)として、ザックリと『火曜JUNK 爆笑問題カーボーイ』との出会いについて少し振り返ってみようと思う。

まず、存じ上げない方に説明しておくと、『火曜JUNK 爆笑問題カーボーイ』とは、爆笑問題の二人がパーソナリティを務めるTBSのラジオ番組である。97年の4月から放送がスタートし、今年で17年目を迎える長寿番組だ。爆笑問題のレギュラー番組としては一番長く続いている。番組開始時の二人の年齢は、太田さんが31歳で田中さんが32歳。ちょうど今のオリラジぐらいの年齢だろうか。いやはや、若い。

それが今や、二人とも50歳目前。『来る仕事拒まず』の精神で、ガムシャラに働いていた時期はとうに過ぎ、大御所芸人と呼んでも差し支えない立場になったお二人。といっても、太田さんはさて置き、田中さんに関しては大御所感が限りなくゼロに近い。まぁ、そういった庶民的な部分が長所といえば長所なのだろうが、ダンディズムなど微塵も感じさせない小太りの小さなオジサンが、嬉々として「猫がカワイイ」やら「あのお菓子がヤバい」、「長澤まさみは88ガール!」等と声高に叫んでいる姿には、微笑ましさを通り越して哀愁すら覚える。きっと70歳になっても同じことを言ってることだろうな、と思う。うん、言っててほしい。

で、そんな二人がやっているこの番組との出会いはというと、今から15年ほど遡ることになる。当時、自分は中学3年生。将来に対する漠然とした大きな不安と、「俺の性欲は宇宙だ!」と言わんばかりの手淫欲に挟まれながら、激しく揺れ動く心を、深夜ラジオというアッラーの声に耳を傾けることで鎮めていた。世間一般の中学生男子は、大体こんな感じだと思う (たぶん違う)。そんな中学性男子の藤井少年は、当時、地方のラジオ番組を卒業し、全国ネットの面白い番組探しに躍起になっていた。

何の手がかりもなく面白いラジオ番組を探し出すのは、砂漠ほどもある広大無辺な砂の中から砂金を見つけ出すのと同じくらい大変なことだと思う、と言うと大袈裟だが、当時の自分にとってはそれほどのことに感じていた。私が深夜ラジオを聴き始めた頃は、インターネットがまだそこまで普及していなかったので、何の情報もないまま、手探りで色んなチャンネルに周波数を合わせては「へぇ~、こんな時間に椎名へきるのラジオやってるんだ」などと、さながら未開拓の土地を探索するトレジャーハンターのような気分で、番組を見つけていた。そうして見つけた番組というのは、『自分だけがこの番組を知っている』という根拠のない思い込みに加え、誰に対するでもない優越感に浸れる素敵な宝石箱であった。うん、これはキレイに言い過ぎかもしれない。

で、爆笑問題カーボーイを知った経緯も、確かそんな感じだったと思う。当時、同じ並びで水曜深夜に放送していた『コサキンDEワァオ!』を聴き始めた流れで「他の曜日はどんな番組をやってるんだろう?」と興味本位でチューニングしたところ、爆笑問題の声が聴こえてきたのがキッカケ。初めて聴いた回は、これまたうろ覚えなのだが、海砂利水魚(現・くりぃ~むしちゅ~)か、3人の頃の底抜けエアラインがゲストの回だったと記憶している。内容は殆ど覚えてない。

あれから十数年。ブランクも多少あるが、現在もなお聴き続けている自分に少し感心してしまう (「他に楽しみはないのか?」という方向で)。

長続きする番組というのは、内容が不変的だ。一般的に長寿と言われている番組を聴いてみると、番組の雰囲気は1回目から殆ど変っておらず、ブランクのあるリスナーが久しぶりに番組を聴いたときに「昔から全然変わってなくて安心しました!」という旨のメールを送るのが、半ばお約束になっている。これはもはや長寿ラジオ番組あるあるだと思う。

カーボーイも多分に漏れず、17年前から、フリートークで話している内容は殆ど変わっていない。もちろん、17年の間に、二人の芸能界での立ち位置だったり、私生活の状況は変わっているのだろうけど(特に田中さん)、二人の人格やら関係性、価値観は大学の頃から変わっていないと思う。まぁ、強いて言うなら、太田さんが昔ほど強く主張をしなくなったことだろうか。少なくとも、私が聴いている限りはそう感じる。

この番組の魅力を自分なりにいくつか考えてみたのだが、その中の1つとして、他のJUNKにはない『敷居の低さ』が挙げられる。例えば、ラジオを全く聴かない人に、『JUNKの中で、最初にどの番組を勧めるか?』と考えたときに、一番勧めやすいのがカーボーイだと思う。良い意味で大衆的と言うのだろうか。グルメ番組などで「いやー、これは好きな人には堪らないでしょうね」といった、一部の人にしか受け入れられない料理ではなく、誰でも美味しく食べられるラーメンのような、「そうそう、この味だよこの味!」と、みんなが声を揃えて受け入れてくれる大衆食堂の味が、カーボーイだと思う。そういう味というのは、いつまでも飽きが来ることはないし、誰もが安心して食べることができる。
とまぁ、そんな昔ながらのラーメンを是非とも食べてほしい。ちょっとだけ胃もたれするかもしれないけど。

もっと具体的な話については、そのうち気が向いたら書くかも。