ラジオ投稿記~コサキンDEワァオ!編~

前回の『ラジオ投稿記~STVラジオ編~』からの続き。
※今回のブログ中のネタは、むらかみあつしさんのブログより引用させて頂きました

北海道のラジオが私の深夜ラジオの原点だったが、そこから徐々に全国区のラジオも聴くようになった。
当時は、地元の新潟本局(1116kHz)でも一部ネットしていたということで、ニッポン放送、特にオールナイトニッポン(以下、ANN)を好んで聴いていた。ANNについても寄り道話は色々とあるのだが、今回はコサキンがメインなので、できるだけ割愛して話を進める。

ANNは、火曜日の『松村邦弘のANN』を聴いたのが最初で、そこから他の曜日もチェックするようになった。一応全曜日を聴いたと思うが、水曜日が自分的にあまりハマらなかったらしく、「他に何か面白い番組やってないかなー」で見つけたのが『水曜UP'S コサキンDEワァオ!』だった。

当時の私は『コサキン』を知らなかった。
関根(勤)さんと小堺(一機)さんは、テレビを通してそれぞれ知っていたが、二人がコンビとして活動してたことも知らなければ、お笑い芸人としての二人の経歴も全く知らなかった。その他にも、小堺さんが無駄に良い体をしていることや、関根さんが家で奥さんから冷遇されていること、関根さんが高熱を出すと夢の中に野口五郎の連絡先を知りたい男が現れること、里見浩太郎さんが、デビュー当時エリザベス里見と言う名でセクシービデオ「水着の中の白乳房」を出ていたことなどなど、挙げればきりがないほど知らないことだらけだった(最後のは完全に嘘だが)。

そんな何も知らない状態で放送を聴いたわけだが、フリートークに登場する人物から、ネタに使われる芸能人の名前、「オギオギ」といった謎の擬音など、意味の分かる言葉を探す方が難しいほど意味の分からない世界だった。それでも聴き続けたのは、きっと何か感じるものがあったのだろう。最初、「3ヶ月ぐらい聴けば、言ってることの意味が分かるようになるのかな」と思っていたが、3ヶ月聴いた結果、「意味の分からないことを言って笑っている」ということが分かった。
「晴郎のうなじにスクランブル・・・スティーガンセブール主演のセルビデオ『グラマーマン・愛と青春のみみずばれ』にゲストとして出ている、鬼裸ちんちろうこと、水野晴郎のうなじには何らかの図形が描かれているがWOWOWのようなスクランブルがかかっているため、はっきりわからない。解除するには別売りのデコーダーが必要。 つまり本当の事を知るには多少の出費の覚悟がいるということ。」というネタの意味を分かれという方が酷である。

で、なんだかんだ聴き続けていくうちに、コサキンの魅力が少しずつ分かり始め、1年も経った頃には、すっかりコサキンの"意味ねぇ~世界"にどっぷりハマっていた。で、ほぼ時期を同じくして、並びでやっていた『伊集院光のUP'S 深夜の馬鹿力』と『火曜UP'S 爆笑問題カウボーイ』も聴き始めるのだが、最初の頃はずっとコサキンに夢中だった。

このへんから投稿の話。

記憶はおぼろげだが、番組にネタを送り出したのは、聴き始めてから1年以上経ってからだったと思う。今まで地方のラジオ局にしか出したことがなかったので、「ネット局も多いだろうし、採用されないだろうなぁ」と思っていたが、その予感は的中し、最初の頃は全く採用されなかった。それでも根気強く毎週毎週出し続けた結果、2000年の2月9日の『お葉書列島』のコーナーに、

嫌な力士ベスト3
3位「仮面をつけている」
2位「立ち合いの際に相手の力士を見て顔を赤らめる」
1位「自分のまわしをわざとゆるめる」

というネタで採用された。
読まれた瞬間、「え!?え!?今の俺?」と、戸惑いと嬉しさが入り混じったような感情が湧き上がり、ドキドキと震えが止まらなかった。信じられなくて、同録したカセットテープを、それこそ本当に擦り切れるくらい繰り返し聴いた。プリプリの『Diamond』の歌詞にある「いくつも恋して順序も覚えてKISSも上手くなったけど、初めて電話するときにはいつも震える」と同じ感じのやつかな、と思ったが、おそらく全く違う。

1度採用されると、何となくコツが分かってくるもので、この初採用を境に、ちょこちょこ読まれるようになった。最初の頃は、隔週でお題が替わる『お葉書列島』というコーナーをメインにネタを出していたが、そのうち他の色んなコーナーにも出すようになった。人間とは欲深いもので、読まれたら読まれたで、今度は「あのコーナーで読まれたい!」と、さらなる欲が出てくるのである。

数あるコーナーの中で、読まれたいのにハードルが高いコーナーの代表格だったのが、『CD大作戦』だった。このコーナーは、簡単に説明すると、自分でお題を考えて、CDや効果音、番組内でのコメントを組み合わせて面白い作品を作るというコーナーである。CD音源を使って作品を作るという意味では、爆笑問題カーボーイの『CD田中』に近いかもしれない(JUNKリスナーしかこのブログを読んでいない前提で書いている)。

このコーナーで採用されると、最初に関根さんから『洗礼』といって、ラジオネーム(の略称)を叫んでもらえるので(渡辺淳一だったら「なべじゅん!」、中島光一だったら「なかこう!」みたいな感じで)、そういった意味でも読まれたいコーナーだった。

このコーナー、なぜハードルが高いかというと、まず根本的な問題として、書き方がよく分からないのである。「このCDのこの部分と、番組のこのコメントを組み合わせて、こんな感じで紹介して下さい~」みたいな説明をハガキに書くんだろうな、と漠然と分かってはいたのだが、いまだに何が正解なのか分からない。おそらく、他の投稿者の方も「こんな感じでいいのかな?」と手探りで書いていたと思われる。

次に、手持ちのCD音源が少ないということだ。当時、インターネットがギリギリ我が家に開通していたので、CDの歌詞についてはネットでどうにか調べることができた。しかし、当時はまだ、iTunesはもちろん、Youtubeもなかったので、ネットで音楽を実際に視聴することなどできなかったのだ。「歌詞だけ分かればいいのでは?」と思われる方もいるだろうが、歌詞が分かっても、それがどういうトーンで歌われているのか実際に聞いてみないことには、ネタにしにくいのだ。例えば、すごく早口で歌っていたり、天龍源一郎のような滑舌だったりした場合は、歌詞が聞き取れなくてアウトなのである。

結果、実際に自分が所持しているCDからネタを作ることが多かった。それなりにCDを所持している方だが、それでも限界があったため、親父のCDをよく漁って使わせてもらった。『宇津井健さんと出会った渚ゆう子さんの感想ベスト3』などは、完全の親父のCDがなければ作れなかった作品である(ちなみに、このときの1位は、渚ゆう子『二人は大阪』の「あ~、ここは戎橋」という部分を使用)。

色々と試行錯誤を繰り返し、初採用から数か月後、CD大作戦でも採用を頂いた。初めて「ふじきく!」と洗礼を受けたときは本当に嬉しかった。
ちなみに、CD大作戦は前半戦と後半戦で分かれており、前半戦は比較的ライトなネタ、後半戦はぶっ飛んだコアなネタという風に棲み分けがされていたのだが、後半戦に採用されるまでにも、それから数か月の期間を要した。時間をかけて、一歩一歩、着実に馬鹿への階段を上って(もしくは下って)いる実感があった。

今でも深夜ラジオへの投稿は続けているが、自分にとっての、いわゆる大喜利的なネタの原点は、コサキンだと思っている。クソ真面目にくだらない文章を書いて、コサキンの二人から「ばっかでー」と笑われることが何よりも嬉しかった学生時代。あの頃がなかったら、今の自分はなかっただろうな、と思う。

書きたいことはまだ色々あるのだが、それはまた次の機会に。

余談。
久しぶりにCD大作戦を聴いたら軽く涙が出た
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1887383

次回、『ラジオ投稿記~爆笑問題カーボーイ編~』へ続く(かもしれない)。