ロンドン旅行記 (日本出発~ロンドン初日まで)

去年からずっと新婚旅行に行くタイミングを逸していたのだが、今年に入ってから仕事も落ち着いてきたのと、周りから「行ったほうがいいよ」と背中を押されたこともあって、9月の祝日が固まっている週に、1年遅れのハネムーンに行くことに相成った。

当初、計画を立てるにあたって、妻に
「旅行、どこ行きたい?」
と聞いてみたところ、
「ロンドンか鳥取
という、これが「どっちの旅行ショー」だったら、鳥取側に付いたMCがぶちギレるほどの釣り合いのとれていない2択が返ってきたので、俺脳内会議により満場一致でロンドンに行くことに決定した (鳥取県民の方、ごめんなさい)。
ちなみに、鳥取候補に挙げたのは、(妻が)大好きな水木しげる氏の生まれ育った境港市に行きたいという理由である。

旅行会社については、結婚式で自分たちの担当だったウェデイングプランナーの方が紹介してくれたところに決めた。会社の公式ホームページを通して、担当の方にざっくりとこちらの希望を伝え、それに添ってロンドンの旅行プランを組んでもらった。

ちなみに、私と妻の海外旅行経験について少し説明すると、 妻は社員旅行でアジア(上海、香港、マカオ、台湾)に何回か行っているが、 自分は会社のイベントでグァムに1回行ったことがあるだけである。
お互い、ガッツリと英語圏の国に行ったことがなかったので、その点については不安があったが、妻としては飛行機に長時間乗る方に極度の不安を感じていたようだ(飛行機が大の苦手)。

そんなこんなで旅行当日。ワクワクよりも不安が勝る精神状態で羽田空港へと向かった。小学校の頃に先生から習った教え『5時間前行動』をしっかりと守り、出発の6時間前には空港に着いたので、空港で買った文庫本を1冊読み終わるほどの暇、もとい、余裕をもってフライトに臨むことができた。

経路としては、羽田空港から出発し、ドバイ空港で乗り換えてロンドン空港に行くという流れだったのだが、トータルで12時間以上も飛行機に乗っているということで、途中、何度も機内食が出た。個人的に、機内食にあまり良いイメージをもっていないのだが、今回利用したエミレーツ航空機内食は、結構美味しかった。ちなみに、前述のグァム旅行では、帰りの便で、CAから「チャーハン or ビーフン?」というあり得ない選択肢を提示されたのだが、そういうことは一度もなかった。

ただ、狭い機内席の中で、「寝て起きてご飯を食べて、寝て起きてご飯を食べて」を4回ほど繰り返しているうちに、小屋で飼われているブロイラーのような気持ちになり、ロンドンに着く頃には、海原雄山だったらまず口にしないようなゲンナリした鳥へと退化を遂げていた。

ロンドン空港に到着すると、出口のところで、旅行会社の箕輪さんという方が出迎えてくれた。洋画の吹き替え声優のような良い声をした、50代くらいのジェントルマンだった。
車でホテルまで向かう道中、箕輪さんから、ロンドン滞在中の諸注意や、ちょっとしたロンドントリビアなどを聞き、知識を補充した。

ホテルに着き、ようやくブロイラーから人間としての心を取り戻したのも束の間、なにやら箕輪さんとホテルの人が揉めていた。
ホテルの人が話す英語に耳を傾けると「え、予約されてねーけど?」と、なにやら不穏なことを言っているようだった。後でちゃんと話を聞いたところ、ホテル側の手違いで、19日からの予約のはずが20日からになっていたらしい。 とりあえず空いてる部屋を探してもらったところ、すんなり見つかったとのことだったので、部屋に行ってみると、これがまた信じられないくらい狭い部屋だった。  

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「え、これ一人部屋に無理矢理ダブルベッド押し込んだんじゃねーの?」と疑うほどの狭さで、その上、風呂場にバスタブすらなく、窓から見える景色は隣の家の壁だった。
なにか釈然としないまま荷物を床に置くと、すぐさま部屋に電話がかかってきた。箕輪さんだった。
「そっちの部屋、バスタブ無いですよね?今、ホテルの人に頼んで、部屋を替えてもらってます」
それを聞き、ホッと胸を撫で下ろしたが、新しい部屋がここと同じスペックなケースも全然考えられるので、できる限りハードルを下げて、新しい部屋に入った。  

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先程の部屋とはうって変わって、十分なスペースのある二人部屋だった。バスタブもちゃんとあるし、三枚の窓からはロンドン市内を見るとこができた。妻と顔を見合せ、今度こそ本当に安心した。
この時点で、ロンドンはまだ昼の2時過ぎ。移動の疲れは残っていたが、この後ずっとホテルにいるのも勿体なかったので、ホテル近辺を散策することにした。

外を歩くと、いかにもロンドンといった赤レンガ造りの建物が立ち並び、ただ歩いてるだけでも楽しかった。日本は広告がやたらと色んな場所にあるが、ロンドンにはそれが殆どなく、そこがまた上品な雰囲気を醸し出していた。ただ、広告や看板が少ないぶん、お目当ての店を探すのには苦労した。  

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立ち並んでいる店は、もちろん初めて見るものばかりだったが、なかには日本ではお馴染みの『ユニクロ』や『H&M』、『ZARA』なども普通にあった。特にZARAは至るところにあり、『シン・ゴジラ』で石原さとみ演じるカヨコが言った「ZARAはどこ?」という台詞は、それだけ海外でメジャーな店だからなのかな、と思ったりした。
あと、ロンドン市内を歩いていて感じたのは、こちらの人はあまり傘をささないということだ。予備知識としてある程度は知っていたが、「あ、本当にささないんだな」と、妙に感心した。特に男性に至っては、滞在中に1度も傘をさしている人を見なかった。
ロンドンというのは天候が変わりやすく、先程までザーザー雨が降っていたかと思えば、その3分後には雲間から日が差し込み、そのまま快晴になったりするので、「どうせすぐやむだろう」と思ってる人が多いのかもしれない。
後でツアコンの人に聞いたところ、出かけるときに雨が降っていても、傘を持たずに行く人もいるようだ。その辺は、日本人の感覚と大分異なる。

で、色々と辺りを歩いているうちにお腹が空いたので、適当な店で夕飯をとることにした。知らない土地で知らない店に入るのは緊張するものだが、国をまたぐとそれに輪をかけて緊張する。
ままよとばかりに、目に留まったステーキハウスに飛び込み、「We are two.」と店員に言って席に案内してもらった。

英語能力については、妻の方が高いため(というか、私のリスニング能力がダメ過ぎるのだが)、基本的に妻主導で話してもらう感じになったが、それでも店員が私に話しかけてくることもあるので、そこで聞き取れなかった場合は、捨てられた子犬のような目で妻を見つめて、助けを求めていた。

で、無事に注文が通り、運ばれてきたステーキが以下。

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見ただけで胃もたれしそうなほどのステーキと、サイドメニューのマッシュポテト、マッシュルームのガーリック炒めである。
正直、ステーキとマッシュルームに関してはイマイチだった。特にマッシュルームは、ガーリックの味がしない上に、これをサンマの代わりとして殿様に出そうものなら、家臣に打ち首にされかねないほどの油の量だった。

一応、「Very good.」と言って店を出たが、かなり胃にヘビーだったようで、夜は特に間食もせず、そのまま死んだように寝た。

初日終了。