シン・ウルトラマン感想(ネタバレあり)

先週の土曜日、『シン・ウルトラマン』を観てきた。

公開日が金曜だったこともあり、仕事終わりに映画を観てきたという人の感想が早くも自分のTLにポンポン流れてきていた。公開初日の時点でシン・ウルトラマン一色のTLになり、油断するとデカめのネタバレを食らいそうな雰囲気だったので、翌日に予約を取ることにした。1人で観るのもなんだな、と思い、妻に「シン・ウルトラマン、観る?」と聞いたら「面白い?」と聞き返されたので、「シン・ゴジラが面白かったら、たぶん面白い」と言ったら「じゃあ観る」となったので、二人分のチケットを予約した。公開週の土日は満席かなと思ったが、意外とスンナリ予約できた。というか、かなり空いてた。池袋HUMAXシネマズで観たのだが、自分たちの列で他に座ってる人はいなかった。

事前情報によると、シン・ウルトラマン初代ウルトラマンを観ているとより楽しめるとのことらしい。ちなみに、私は全話観ている。これは別にシン・ウルトラマンのためではなく、今年の初めに「無性にウルトラマンが観たい!」と急に思い立ち、円谷プロのサブスクに加入したのだ。最初は、お気に入りのウルトラマンレオだけ観るつもりだったが、せっかくだから最初から観よう、ということで初代から観ていくことにした。初代ウルトラマンは、小学校時代の夏休みによく再放送していたので観てはいたものの、全部は観ていなかったので良い感じに話の補完ができた。

というわけで感想。おもいっきり話の内容を書くので、ネタバレが嫌な人は見ない方がいい。

 

 

まず、最初の1分で心をワシっと掴まれた。オープニングで「シン・ゴジラ」のタイトルが表示され、その後にパーンと赤バックの「シン・ウルトラマン」のタイトル。これはシン・ゴジラと同じ世界観を引き継いでいるというメッセージが込められていると同時に、初代ウルトラマンのオマージュにもなっている。初代ウルトラマンの場合は、「ウルトラQ」から「ウルトラマン」へとクレジットが変わる。つまり、シン・ゴジラの位置付けが、ウルトラマンにとってのウルトラQになるわけだ。ウルトラマンは、ウルトラQよりも、「ヒーローvs怪獣」といった子供向けの分かりやすいコンセプトで作られたものなので、シン・ウルトラマンが小学生にも好評だという話を聞くと頷ける話である。

全体を通して思ったのが、『すごく話のテンポが速い』ということだ。これはおそらく、怪獣・外星人とのシーンをできるだけ詰め込みたかったんだと思う。テンポが早いことで登場人物の心情が読み取りにくい部分があったものの、シン・ウルトラマンを観る人が一番期待するのはそこなので、自分的には特に気にならなかった。ある程度のツッコミどころがあっても許されるのがウルトラマンだと思っている。

ツッコミどころといえば、長澤まさみ演じる浅見弘子のシーンが印象的だった。まず、巨大浅見弘子のシーンだ。メフィラス星人によって巨大化&洗脳された浅見弘子が街を闊歩し、ビルを破壊するシーンがある。これは初代ウルトラマンでも同様のシーンがあるので、ザラブ星人からメフィラス星人の流れで「もしかしたら巨大化するのでは?」と思った人も多いのではないだろうか。禍特対の本部から浅見が消えた時点で、私も「これは巨大化か?」と思った。

それにしても、身体のラインが出るスカートスーツで街を破壊するシーンは一部のフェチな人の心に突き刺さりそうだな、と思った。しかも、蹴り上げるシーンは結構パンツが見えるか見えないかギリギリのラインだったので、途中から特殊なAVを見せられているような気持ちにもなった。実際、一緒に見に行った妻が上映終了直後に発した一言目が「長澤まさみがエロかった」だった。
ちなみに、長澤まさみのシーンでは他にも、「なかなか風呂に入れてない状態の身体の匂いを嗅がれる」「気合を入れるために自分の尻を叩く」といったフェチ性の強いシーンがある。尻を叩くのは何か深い意味があるのかな?と思いながら観ていたが、自分の中では特に意味を見出せなかった。

怪獣、というか外星人ではメフィラス星人が良かった。山本耕史がハマり役で、胡散臭い感じが良く出ていた。人間の姿の状態でメフィラス星人ウルトラマンが居酒屋で話すシーンは非常に日本的で、四畳半のちゃぶ台でウルトラセブンと向かい合うメトロン星人を彷彿とさせた。会計のときの、「割り勘でいいか?ウルトラマン」というセリフは凄く印象的だった。あれは大分狙いにいったセリフだと思う。
ただ、メフィラス星人が本来の姿になったときの造形は個人的に微妙だった。これはメフィラス星人に限らないが、メタリックでスタイリッシュな怪獣のフォルムは、カッコいい半面、特撮の着ぐるみから滲み出る味のようなものが失われてるような気がした。ただ、全部が全部イマイチだったわけでなく、最後の使徒みたいな超巨大ゼットンは、そのスタイリッシュな造形ゆえの不気味さと悍ましさがあり、新しい解釈のゼットンとして良いなぁと思った。

その超巨大ゼットンを倒す流れは、少しだけ初代ウルトラマンの37話「小さな英雄」を想起させた。有岡大貴が演じる滝明久は、初代ウルトラマンでいうところのイデ隊員にあたる。37話の中でイデ隊員は、科学特捜隊の存在意義について考える。ウルトラマンさえいれば、科学特捜隊は必要ないのでは?と。そんなモヤモヤした状況で怪獣と対峙したイデ隊員は「ウルトラマンが今に来るさ...」と、積極的に戦いに参加しようとしない。そんな中、身を挺してイデ隊員を守って死んでいったピグモンの死を見て、自分の考えを改め、自身の開発した兵器で怪獣を倒すという流れだ。
シン・ウルトラマンでも、同じように滝明久が「ウルトラマンがなんとかしてくれますよ」と言い捨てて、自らの役割を放棄するシーンがある。その後、早見あかり演じる船縁由美に諭されて心を改め、なんとかゼットンを倒す手段を考えるのだ。
これはウルトラマン全体を通してのテーマでもあるような気がするが、「地球は人類自らの手で守らなくてはならない」というものが根幹にあり、今回のシン・ウルトラマンでもそれを最後に強く訴えかけていたように思う。

感想としてはこんなものだろうか。初見の妻も楽しめたようなので、深く考えずにエンタメ作品として観るぶんには十分楽しめると思う。

最後に、長澤まさみの脚がもっと観たい方は『都市伝説の女』がおススメだぞ。