最近、某所で90年代の懐かしドラマ映像集というものを見て海馬が刺激されたため、昔、深夜に放送されていたお色気ドラマについて少し書きたいと思う。
お色気ドラマとは
お色気ドラマというのは、要は女性のオッパイやパンツなどの露骨なお色気シーンが出てくるドラマのことで、ドリフやバカ殿など、ゴールデンタイムで普通に女性の裸を拝めた時代の産物である。『ボーイ・ミーツ・お色気ドラマ』といった具合に、当時の健全な青少年はどこかのタイミングで必ずこのドラマと偶然出会うことになる。今でもたまに性を扱ったドラマは放送されるが、完全に男向けのエロシーンが出てくるドラマはさすがに令和の地上波では無いと思う。
放送されていた枠について
自分がよく観ていたのは、テレビ朝日の土曜23:28から23:58の、いわゆる『ウイークエンドドラマ』と呼ばれる枠だった。当時のラインナップとしては、『しようよ♡』『しようよ2♡ 女教師ナズナの場合』『お天気お姉さん』『お天気お姉さん2 リョーコPuriPuri』などがあった。これより前にも、『HEN Vol.2 ちずるちゃんとあずみちゃん』など色々あったようだが、私が最初に観たのは、確か『しようよ♡』の第3話だった。深夜にテレビをザッピングしたらオッパイが視界に入ったので急いでチャンネルを戻したところ、何やらエロい雰囲気のドラマをやってるな、と思いそこから観るようになった。テレビにオッパイが映っていたら手をとめるのは男子中学生の性(サガ)なのである。
で、「このドラマは繰り返し何度も観たい」と思ったので、4話目からはビデオデッキ所持者の親父に頼んで録画してもらうことにした。こういうドラマを親に録画してもらうのは如何なものかと思われそうだが、当時からAVを4桁単位で所持しているような人だったので、頼むのにそこまで抵抗はなかった(うちが少し特殊な環境だったのもある)。ただ、第4話が録画されたビデオを最初に親父から手渡されたときに何か言われた気がする。
余談だが、当時、ドラマ『失楽園』の特番が放送されるということで、同級生で友人の須佐君から「うちだとちょっと録画できないので、録画をお願いしたい...!」と強く頼まれたことがある。そのときは、「いいよ」と二つ返事で引き受けて、それをそのまま右から左に受け流すように親父に録画を頼んだ。で、失楽園が録画されたビデオを須佐くんに渡すタイミングでそのことを伝えたところ、「えー!うぁあマジか...ええ...めっちゃ恥ずかしいんだけど...、次に会ったとき顔見れないわ...あー」と、ひどく悶え苦しんでいた。友達のお父さんにエロいドラマを録画してもらうのは想像以上に恥ずかしいことらしい。
ちなみに、どういう縁なのか、須佐君は自分が今住んでるところから歩いて数分の場所に住んでるので、たまに顔を合わせることがある。かれこれ5年ほど前に須佐君から「俺のPC、CDが焼けないので代わりに焼いてほしいんだけど...」と頼まれたときは、先ほどのことが頭をよぎった。
しようよ♡
男子中学生あるあるとして、エッチなお姉さんが醸し出すフェロモンに心が魅了されることを、女性に対する「好き」と勘違いすることがある。これに近い感覚で、この『しようよ♡』というドラマが好きだった。ただ、このドラマに関していうと、普通に内容も面白かったので、エロだけに魅かれたということではなかったと思う。次回予告を観て続きが気になる程度にはエロ以外の部分も好きだった。
主人公はグレチキの北原雅樹で、ヒロインは小嶺麗奈。小嶺麗奈というと、『KAT-TUNの元メンバーと仲良く一緒に逮捕された人』という印象しかない人もいるだろうが、当時は絶賛売り出し中で、結構いろんなドラマに出ていた。金八先生にも生徒役で出ていたと思う。
前述の男子中学生あるあるではないが、このドラマに出てる女性キャストは基本的に好きで、ヒロインの小嶺麗奈はモチロンのこと、劇中では敵役として出演していた湯原麻利絵という無名のアイドルも結構お気に入りだった。当時は確か『めざましテレビ』のめざまし調査隊リポーターをやっていて、リポーターとして明るくふるまう姿と、ドラマの中の演技で見せる少し妖艶なキャラとのギャップに魅かれていた。ちなみに、敵役ではあったが、実はヒロインのことが好きという設定で、最終話近くで小嶺麗奈とキスをするシーンなどもあった。私は百合属性は持ってないのでそんなにだったけど、人によっては性癖の曲がり角になったのかもしれない。
『しようよ♡』が終わると、『しようよ2♡ 女教師ナズナの場合』という、続編っぽい感じのタイトルながらも、主題歌以外は全く別の作品が始まった。こちらは全4回で終了ということで、前作より内容が薄かったように思う。ただ、相変わらずエロシーンはあったのでチェックはしていた。ヒロインの城麻美は、テレ東の深夜バラエティ『ギルガメッシュないと』でお馴染みだったようだが、私は新潟県民でテレ東が映らない地域の人間だったので、全くお馴染んでなかった。次、生まれ変わるとしたら、テレ東が映る地域の人間に生まれ変わりたいと思っている。
『しようよ2♡』より後のドラマはもうほとんど惰性で観ていたが、最後の拠り所だったエロが無くなった『いとしの未来ちゃん』あたりからは、もう大分興味が薄れており、『オマタかおる』で完全にウィークエンドドラマ枠を観るのをやめてしまった。
星空シネマパラダイス
新潟ローカルの深夜番組で『星空シネマパラダイス』という番組があった。放送されていたのはウィークエンドドラマと同時期で、ウィークエンドドラマの放送終了後、情報番組を挟んで1時間ほど後に放送されていた。タイトルの通り、Vシネマを垂れ流すだけの番組だった。ただ、ここで放送されるVシネマのエロ率が割と高く、どこかのタイミングからか、ウィークエンドドラマよりこちらの番組を目当てで観ることが多くなった。聞きたくもないかもしれないが、この番組を観ているときに精通を経験したので、自分の中ですごく印象深い番組だったりする。ちなみに、そのとき放送されていたのは『ギルガメッシュな関係』というVシネマで、察しの良い方なら想像つくと思うが飯島愛が主演である。抜いたシーンは飯島愛ではない別の女優が出ていたシーンだったけど。
この番組を観るにあたって、一つ大きな問題があった。放送時間帯が深すぎるのである。あまりにも遅くまで起きてると家族から何か言われる年齢だったので、リアルタイムで観るのは厳しかった。そこで出てくるのが、ビデオ録画だ。前述の通り、基本的にウィークエンドドラマは親父に録画を頼んでいた。ここでポイントなのが、録画の方法がVHSの3倍録画でずっと最後まで回しっぱなしだったということだ。若い人はガン無視して話を進める。つまり、ウィークエンドドラマが終わってから5時間30分分の番組が撮れているのである。なので、最後の方まで早送りすれば星空シネマパラダイスまで辿り着くわけだ。
これにより、無事に番組が観れたのだが、まだ大きな問題があって、ウィークエンドドラマの録画が積み重なっていくと、5時間30分あったバッファ時間がどんどん減っていくのだ。ウニの木箱に入ったウニが少なくなってきたら、新しい木箱に取り替えてくれる粋な寿司屋の大将みたいなことを親父がしてくれるわけもないので、最後の方は涙を飲んで観るのを諦めていた。残り時間が1時間とかなら完全に諦めもつくのだが、2時間弱のような残り時間だと中途半端にVシネマが撮れていたりするので、途中でテープが切れるチキンレースを味わいながら観ていた。しかも、そういうときに限って『エッチでハッピー!ピン!ピン!ピン!』みたいなエロいタイトルだったりするので、急にプツンとテープが終わったときの絶望感たるや凄まじかった。
このときに得た中学生ならではのエロ豆知識として、全く聞いたこともないような女優が出てるVシネマの方がエロく、逆にテレビで名前がある程度知れてる女優が出てるVシネマはそんなにエロくない率が高かった。なので、キャストに飯島直子の名前を見つけたりすると少しガッカリしていたのを覚えている。
と、思春期のお色気ドラマについてあーだこーだ色々と語ってきたが、今の若い人はスマホで手軽にこういうエロを摂取できるので、羨ましいなぁと思う。ただその反面で、私が経験したような絶望へのチキンレースのような体験をどこかで味わってほしいなぁとも思ったりする。